用語解説(MSワラント)
朝の金融情報(2022/1/18)
おはようございます。
本日は金融投資に関する用語を解説します。
●MSワラント
MSワラント(Moving Strike Warrant)とは、上場企業の資金調達のひとつです。
新株予約権の一種で、行使価額修正条項が付与されたものです。
新株予約権は一定の価格で新株(株式)を取得できる権利ですが、MSワラントはその権利行使価格を修正することができます。
※ちなみに新株予約権とは、発行した企業に対して権利を行使することによって、その企業の株式の交付を受けることができる権利のことです
MSワラントはその権利行使価格を修正することができ、MSSOとも表記されることがあります。
なぜ株ではなく、新株予約権を受け取るのかというと、投資家側が損失リスクを抑えるためです。
新株予約権の購入代金として、低額のオプション料を支払っておき、好きなタイミングで株へ変換することができます。
仮に、行使価額が低く、投資家側が株に変えたくなければ、変えないという選択をすることもできます。
MSワラントの問題点はMSCBと同様に、株価への下方圧力がかかりやすい点です。
MSワラント取得者は相場が下がったとしても一定の利幅は享受できます。
さらに、株価が高いうちから空売りを仕掛ければ、空売りによる値下がり分+行使価格と株価の差の両方を得ることができます。
以下は例です。
権利行使価格1000円で下限行使価格700円。
権利行使価格は当日終値の90%)でMSワラントを50万株分引き受けたとします。
ワラントの発行価額は総数で500万円。
引き受け手はこの会社の株を500円で50万株分空売り。
その後、株価が400円の時に360円で権利行使をして50万株を得る。
取得した50万株は500円で空売った株に充てる。
これを行うとおよそ1.4億円の利益が出ることになります。
MSワラントの代金として500万円を支払っているので1.35億円になるが、それでも大きな利益がでます。
実際はもっと複雑ですが、MSワラントはワラントの引受手がほとんどリスクなく儲かる仕組みとなっています。
しかし、MSワラントを発行すると株価に対してはマイナスの影響が大きいため、既存株主は希薄化+株価下落という形で損失を被ることになる。
ご自身が所有している株がMSワラントとなった場合は、空売りによるリスクヘッジを行うことで、手放さないような工夫も一つですね。
本日も頑張っていきましょう。